活動報告

定例研究会

国際教育や教育全般にわたるテーマで研究発表、事例報告と意見交換を行う定例研究会を年に5回程度開催しています。所員ばかりではなく、ゲストスピーカーを招いての発表・報告が行われます。参加者は、岡山理科大学などの大学関係者をはじめ学校関係者、公務員、大学院修了生、企業関係者など多岐にわたっています。

令和6年度 第5回定例研究会

日時:
令和7年3月1日(土) 14:00~15:40
場所:
オンライン(ZOOM)形式

発表1

「キャンパスの国際化を推進する留学生と日本人学生の交流促進の試み」
発表者
前川 洋子(岡山理科大学教授、岡山理科大学グローバルセンター長)
概要
 岡山理科大学ビジョン2026-3で掲げられる「世界から人々が集い、国際性豊かな人材を輩出する大学」を実現する試みとして、岡山理科大学教育改革推進事業の支援を受けた取り組みとして、留学生別科生に向けた学生による数学サポーター制度と留学生別科生学修成果発表会を兼ねた交流プログラム「文化と学びの交差点」の実施を報告した。
 上記のような取り組みの成果として、留学生別科生と学部生の交流機会が増加したこと、国際交流に関心が低いと思われる理系教職学生が参加したこと、教職や日本語教師を目指す学生に実勢の場を提供できたこと、留学生別科生の岡山理科大学への進学が増加したこと、地域との関わりが増えたことが挙げられた。次年度は、数学サポーター制度を継続運営、留学生と日本人学生の相互サポート制度の確立、交流プログラムの継続が紹介された。

発表2

「SDGsのゴール目標を踏まえた『協働・協学・協育』の町づくり」
発表者
徳山 順子(元岡山県教育庁参与、元岡山市立京山中学校長、元岡山大学教職大学院特任教授、前早島町教育長、前岡山県町村教育長会会長、現岡山ユネスコ協会副会長)
概要
 赴任した9年前、「こんな小さな町にようこそお越しくださいました」と言った、ある中学生の「小さな」という形容詞が印象に残った。小さいからこそ世界が学びのキャンパスとなる学校園づくりがしたい、夢や志、たくましい心の育つ教育がしたい。教育長としての夢が膨らんだ瞬間、あれから2期6年間の任期を終えたが、持続可能な早島の教育を目指して様々なことに挑戦し、学びの深い充実した日々であった。県内で一番面積は小さいが人口密度は一番高い。昔は吉備の穴海であり、岡山城を築城した宇喜多秀家が干拓を命じ、汐留め堤防の「宇喜多堤」を造った。何度も津波に流されながらも未来の早島のために「希望の杭」を打ち続けた先人の日々の試行錯誤のおかげで、塩分に強いイ草を植え、当時日本一の生産量を誇る町となった。こうした先人の努力とフロンティア精神を誇りに思い、持続可能な未来を創造する担い手づくりに向け、SDGsのゴール目標を踏まえたESD教育に取り組み、町全体や世界を学びの舎にした「協働・協学・協育の町づくり」に取り組んだ事例をいくつか紹介した。
 まず、夢や志をもち、一人一人が輝く持続可能な教育の実現に向けて、校種を越えた学校園の結び付きやそれを支える地域とのつながりが大切であると考え、学校園を中心に、町民が共に学び合い育ち合う環境を創ることで、早島で学ぶことを誇りに思い、地域を誇りに思う子どもたちが育つ町にしたいと考えた。平成26年10月に策定された「早島町学校教育ビジョン」を踏まえ、「早島・夢の宝島プロジェクト」を立ち上げ、目指す子ども像を「地域とつながり 未来を拓く 早島っ子」として具体的な姿を地域と共有し、重点として、①保幼小中の連携を強化した小中一貫教育の推進、②町民と共に学び、地域を考える「はやしま学」の推進、③早島っ子を育てるサポートボランティアの拡充を掲げ、「自立・共生・郷土早島を愛する心」の育つ学校園を目指し、社会総がかりな様々な教育活動を展開した。具体的には、小1・小2の生活科、小3~中3までの総合的な学習の時間等を中心に、キャリア教育とESDの視点を踏まえて、9年間の付けたい力を明確にしたカリキュラムを構築するとともに、SDGs週間を設定し、教科等横断的な単元学習プログラムを作成し、課題発見・課題解決学習に向けた「探究的な学習の質的向上」や「振り返りの時間の充実」を図ることで自己評価能力を高め、主体的な学習態度やその基盤となる非認知能力の「やり抜く力」と、ヒト・モノ・コトと「つながる力」を育てていった。
 こうして校種を超えて全教員が同じベクトルで指導を行えるように、キャリア教育の基礎的・汎用的能力、ESDの付けたい力、学習指導要領の評価の3観点とを整理し、付けたい力を明確にした授業改善に取り組んだ。こうして社会貢献意識を高めようとするESDの車輪と、自分の夢や生き方を見つめ自己を成長させようとするキャリア教育の両輪を回していくことで「生きる力」を育んでいる。その具体的な総合的な学習の時間等の系統的な学習プログラムの提示や授業の流れをいくつか紹介した。
 また、「子どもの権利条約」にある4つの原則の1つ「子どもの意見の尊重」を踏まえて、学校園で子どもが探究してきたことを地域提案する場として「子ども議会」や「子どもフォーラム」、大人と子どもが地域課題について意見交換する「熟議」等を開催し、子どもが社会の一員として意見を表明できる場を設定することで、主権者教育の充実につなげるとともに、地域住民の学校教育への理解を深めてきた。
 このように、学校園で校種を超えた結び付きや地域とのつながりを大切にした、SDGsのゴール目標を踏まえたカリキュラムを作成することで、子どもたちの社会貢献意識が高まり、地域社会の抱える問題を自分の事として捉え、自己の夢や生き方を見つめ直すよい機会になっている。また、保幼小中の全教員がベクトルをそろえて指導することで教育効果を高めるとともに、地域社会のヒト・モノ・コトと連携・協働した課題発見・課題解決学習を通して、子どもたちの活躍の場が学校内外に開かれ、「みんなと対話する経験」「だれかに提案する経験」「みんなを巻き込んで活動する経験」等が将来の社会で活躍できる資質・能力を養い、持続可能な社会の担い手を育てることに繋がると確信している。

公開講座・研修会

加計学園フィロソフィの「国際人を養成する」ための公開講座や研修会等を開催し、学園全体の国際交流・グローバル教育に関する理解を深め、国際社会に貢献できるマインドや資質能力の育成を図ります。
広く市民に向けた公開講座を開催し、学園の実施する各種の国際交流プログラムの周知を図る広報活動を展開する予定です。

オンライン公開講座(3月1日)

日時:
2025年3月1日(土) 16:00~17:00
場所:
オンライン(ZOOM)形式

国際教育研究所では、以下の要領でオンライン公開講座を開催しました。
1.日時:2025年3月1日(土)16:00~17:00
2.講師:倉敷芸術科学大学危機管理学部長 村山公保教授
3.演題:生成AIの進化と活用法 ~仕事と生活にどう役立てるか~
4.対象:原則として加計学園教職員
5.形式:オンライン(ZOOM) 
6.参加費:無料