過去の定例研究会
令和6年度 第5回定例研究会
- 日時:
- 令和7年3月1日(土) 14:00~15:40
- 場所:
- オンライン(ZOOM)形式
発表1
「キャンパスの国際化を推進する留学生と日本人学生の交流促進の試み」
- 発表者
- 前川 洋子(岡山理科大学教授、岡山理科大学グローバルセンター長)
- 概要
- 岡山理科大学ビジョン2026-3で掲げられる「世界から人々が集い、国際性豊かな人材を輩出する大学」を実現する試みとして、岡山理科大学教育改革推進事業の支援を受けた取り組みとして、留学生別科生に向けた学生による数学サポーター制度と留学生別科生学修成果発表会を兼ねた交流プログラム「文化と学びの交差点」の実施を報告した。
上記のような取り組みの成果として、留学生別科生と学部生の交流機会が増加したこと、国際交流に関心が低いと思われる理系教職学生が参加したこと、教職や日本語教師を目指す学生に実勢の場を提供できたこと、留学生別科生の岡山理科大学への進学が増加したこと、地域との関わりが増えたことが挙げられた。次年度は、数学サポーター制度を継続運営、留学生と日本人学生の相互サポート制度の確立、交流プログラムの継続が紹介された。
発表2
「SDGsのゴール目標を踏まえた『協働・協学・協育』の町づくり」
- 発表者
- 徳山 順子(元岡山県教育庁参与、元岡山市立京山中学校長、元岡山大学教職大学院特任教授、前早島町教育長、前岡山県町村教育長会会長、現岡山ユネスコ協会副会長)
- 概要
- 赴任した9年前、「こんな小さな町にようこそお越しくださいました」と言った、ある中学生の「小さな」という形容詞が印象に残った。小さいからこそ世界が学びのキャンパスとなる学校園づくりがしたい、夢や志、たくましい心の育つ教育がしたい。教育長としての夢が膨らんだ瞬間、あれから2期6年間の任期を終えたが、持続可能な早島の教育を目指して様々なことに挑戦し、学びの深い充実した日々であった。県内で一番面積は小さいが人口密度は一番高い。昔は吉備の穴海であり、岡山城を築城した宇喜多秀家が干拓を命じ、汐留め堤防の「宇喜多堤」を造った。何度も津波に流されながらも未来の早島のために「希望の杭」を打ち続けた先人の日々の試行錯誤のおかげで、塩分に強いイ草を植え、当時日本一の生産量を誇る町となった。こうした先人の努力とフロンティア精神を誇りに思い、持続可能な未来を創造する担い手づくりに向け、SDGsのゴール目標を踏まえたESD教育に取り組み、町全体や世界を学びの舎にした「協働・協学・協育の町づくり」に取り組んだ事例をいくつか紹介した。
まず、夢や志をもち、一人一人が輝く持続可能な教育の実現に向けて、校種を越えた学校園の結び付きやそれを支える地域とのつながりが大切であると考え、学校園を中心に、町民が共に学び合い育ち合う環境を創ることで、早島で学ぶことを誇りに思い、地域を誇りに思う子どもたちが育つ町にしたいと考えた。平成26年10月に策定された「早島町学校教育ビジョン」を踏まえ、「早島・夢の宝島プロジェクト」を立ち上げ、目指す子ども像を「地域とつながり 未来を拓く 早島っ子」として具体的な姿を地域と共有し、重点として、①保幼小中の連携を強化した小中一貫教育の推進、②町民と共に学び、地域を考える「はやしま学」の推進、③早島っ子を育てるサポートボランティアの拡充を掲げ、「自立・共生・郷土早島を愛する心」の育つ学校園を目指し、社会総がかりな様々な教育活動を展開した。具体的には、小1・小2の生活科、小3~中3までの総合的な学習の時間等を中心に、キャリア教育とESDの視点を踏まえて、9年間の付けたい力を明確にしたカリキュラムを構築するとともに、SDGs週間を設定し、教科等横断的な単元学習プログラムを作成し、課題発見・課題解決学習に向けた「探究的な学習の質的向上」や「振り返りの時間の充実」を図ることで自己評価能力を高め、主体的な学習態度やその基盤となる非認知能力の「やり抜く力」と、ヒト・モノ・コトと「つながる力」を育てていった。
こうして校種を超えて全教員が同じベクトルで指導を行えるように、キャリア教育の基礎的・汎用的能力、ESDの付けたい力、学習指導要領の評価の3観点とを整理し、付けたい力を明確にした授業改善に取り組んだ。こうして社会貢献意識を高めようとするESDの車輪と、自分の夢や生き方を見つめ自己を成長させようとするキャリア教育の両輪を回していくことで「生きる力」を育んでいる。その具体的な総合的な学習の時間等の系統的な学習プログラムの提示や授業の流れをいくつか紹介した。
また、「子どもの権利条約」にある4つの原則の1つ「子どもの意見の尊重」を踏まえて、学校園で子どもが探究してきたことを地域提案する場として「子ども議会」や「子どもフォーラム」、大人と子どもが地域課題について意見交換する「熟議」等を開催し、子どもが社会の一員として意見を表明できる場を設定することで、主権者教育の充実につなげるとともに、地域住民の学校教育への理解を深めてきた。
このように、学校園で校種を超えた結び付きや地域とのつながりを大切にした、SDGsのゴール目標を踏まえたカリキュラムを作成することで、子どもたちの社会貢献意識が高まり、地域社会の抱える問題を自分の事として捉え、自己の夢や生き方を見つめ直すよい機会になっている。また、保幼小中の全教員がベクトルをそろえて指導することで教育効果を高めるとともに、地域社会のヒト・モノ・コトと連携・協働した課題発見・課題解決学習を通して、子どもたちの活躍の場が学校内外に開かれ、「みんなと対話する経験」「だれかに提案する経験」「みんなを巻き込んで活動する経験」等が将来の社会で活躍できる資質・能力を養い、持続可能な社会の担い手を育てることに繋がると確信している。
令和6年度 第4回定例研究会
- 日時:
- 令和6年12月28日(土)15:00~16:45
- 場所:
- 岡山国際交流センター 3階研修室
発表1
「探究指導力育成の成果と課題について」
- 発表者
- 坂口 武典・髙橋 信幸(岡山理科大学)
- 概要
- 初等・中等教育では、各教科の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれらを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質・能力の育成が目指され、探究的な学びの充実が求められている。
そこで、本学の技術科教育法と理科教育法における、「探究」を指導できる教員養成を目指した取り組みについて事例紹介した。
そして、教職履修学生と現職教員に対して「探究」指導についてのアンケートを実施し、その結果を分析した。探究の指導に不安を抱いている割合は約7割で、解決策として実践事例から学ぶ割合を増やすことなどが有効と考察できた。
発表2
「SDGsはどこまで達成できるのか」
- 発表者
- 小山 悦司(倉敷芸術科学大学名誉教授)
- 概要
- SDGsは2016~2030年の15年間を対象とし、2024年は後半スタートの年にあたる。このタイミングで出された国連『持続可能な開発目標報告2024(Sustainable Development Goals Report 2024)』(2024/6/28)では、「SDGsのターゲット(17目標の下にある169の小目標)のうち、順調に進んでいるのは、わずか17%。3分の1以上は進捗が停滞または後退している」と厳しい現状に警鐘を鳴らしている。
本発表では、1)SDGsの達成状況、2)SDG4(教育目標)「質の高い教育」の後退、3)SDGs達成の鍵はESD、4)ESDの推進拠点としてのユネスコスクールを中心に考察を加えた。
最後に、SDGs の目標達成の切り札となるのが、日本の提唱したESD (持続可能な開発のための教育)である。ユネスコスクールを推進拠点としたESDの充実と発展こそがSDGs達成の鍵を握るとの締め括りがなされた。
主な論点は、次の通り。
1)SDGsは目標の2030年までに達成できるのか
2)世界全体のSDGsの進捗率は(2023年)
3)日本のSDGsはどの程度進んでいるのか?
4)日本で達成できている目標は?
5)日本で達成が厳しい目標は?
6)今後のSDGs実現を大きく左右する切り札は?
7)ESDとは何か。SDGsとESDはどう違うのか?
発表3
「インドネシア児童へのオンライン日本語講座」
- 発表者
- 植田 浩三(NPO法人メンターネット)
- 概要
- 現在、総社市内の小学校に在籍しているインドネシア児童と昨年度より支援している矢掛町の小学校に在籍している児童についての報告です。
1)インドネシア児童
総社市内の小学校6年生の双子(男子)、2024年9月に来日。
授業はオンラインで行っています。週2回(月・水)19:00~19:45
講師はインドネシア在住の日本人講師。現地でも日本語講師の経験あり。
母語を交えて日本語を学びます。
来年度から中学校へ進学するにあたり、学校側の対応をどうするのか課題があります。
2)パキスタン児童
矢掛町内の小学校6年生(女子)、5年生(男子)、3年生(男子)
2023年6月に来日。小学校の授業時間内で3人一緒に実施。
授業はオンラインで行っています。週1回 木曜日 45分間。
講師はパキスタン在住の日本人講師。現地でも日本語講師の経験あり。
母語を交えて日本語を学びます。小学校の担当教諭が付いてオンライン授業に参加。
自治体によって対応の差があり、子供の将来への影響が大きく変わってくるのは問題。
来日する外国人児童に対する教育の機会均等を実現しなければならない。そのためには、準備不足の自治体をサポートしていく機関が必要と思われます。
令和6年度 第3回定例研究会
- 日時:
- 令和6年10月26日(土)15:00~16:30
- 場所:
- オンライン(ZOOM)形式
発表1
「国連世界観光機構「TedQual認証」を取得してみて」
- 発表者
- 牧 一郎(九州産業大学教授)
- 概要
- TedQual(Tourism Education Quality)は観光分野における世界最大の国際機関である国連世界観光機関(UNWTO)の関連教育機関であるUNWTO Academy(本部:スペイン)が審査を実施し、観光分野における教育機関の教育プログラムの内容について検証を行うものである。
TedQualは、観光教育機関に対し観光教育の質を保証し、「観光学の教育と研究およびトレ−ニングプログラムの質向上」を目的とした国際認証制度である。
そこで今回は、1)TedQual審査について、2)TedQual取得のメリットについて、3)九州産業大学地域共創学部観光学科のTedQual取得までの流れを衷心に報告する。
発表2
「さくらサイエンスプログラムによるモンゴル国教員研修団の受け入れ」
- 発表者
- 高原 周一(岡山理科大学教授)
- 概要
- JSTのさくらサイエンスプログラムからの資金を得て、2024年6月12日~18日の日程でモンゴル国の若手教員9名を受け入れた。研修団は、岡山理科大学および関連校などで日本におけるアクティブラーニング型理数教育の視察・体験を行った。その具体的な内容と成果について報告した。
発表3
「外国人児童と留学生によるオンライン日本語学び合い事業-2024年度活動紹介-」
- 発表者
- 小山 悦司(倉敷芸術科学大学名誉教授)
- 概要
- 2024年度の前期の実施報告として、1)オンライン学び合い活動の概要、2)2024年度の進捗状況、3)学び合い活動の工夫・改善、4)学び合い活動の検討課題を中心に発表がなされた。
2023年度の成果を取りまとめた成果報告書の作成、募集リーフレットの更新、自作ドリル(宿題)の事前配布を新規に実施した。
昨年度に比較して、対象児童生徒が2から10名に、実施回数が48回から106回(予定含む)に増加したとの説明がなされた。
令和6年度 第2回定例研究会
- 日時:
- 令和6年8月24日(土)15:00~16:30
- 場所:
- オンライン(ZOOM)形式
発表1
「アクティブラーナーズコースの特色と実践」
- 発表者
- 重松 利信(岡山理科大学教授・アクティブラーナーズコース長)
- 概要
- 岡山理科大学では,岡山キャンパスの全学部が連係した学部等連係課程であるアクティブラーナーズコースを,「学修者本位の教育」を牽引する教育組織として2021年度に開設した.
その教育の要は,学部を横断的に学べる「クロスカリキュラム型教学システム」と学びが系統的・将来的になっているかを省察・相談できる「チームチューター制」にある.学生は,アクティブラーナーとなるための専門科目を履修しながら,複数学部に跨った専門教育科目を履修する.
学生への満足度調査の結果,コースの教育スタイルに対して8割以上が満足していることから,現代に即した有意義な教育実践ができていると考えている.
発表2
「今こそ平和教育を! -日本ユネスコ協会連盟の「カンボジア研修」から「人間の愚かさ」と「平和の有り難さ」を学ぶ-」
- 発表者
- 鈴木 昌德(文部科学省 日本ユネスコ国内委員会 委員)
- 概要
- 第2回定例研究会では次の項目について鈴木から発表させて頂きました。
1.学校現場の国際理解教育の推移
1974年ユネスコ勧告に基づいて、2010年までは国際理解教育は「国際交流」と「姉妹校交流」に代表される学校独自の行事に組み込まれたが、2023年には新国際教育勧告が全会一致で採択され、今後は地球市民として一人一人がどう共生・協調して生きていくかがポイントになる。
2.カンボジア研修(2015年8月13日~21日)で実感した平和の大切さ
研修前半プノンペンでの200~300万人の虐殺現場の見学を通して、人間の持つ善と悪の本性を学んだ。独裁政権崩壊後に為政者を糾弾できなかったのは、住民の無教育と隣人の多くが独裁政権に加担していたことで人間関係の崩壊を恐れたことによる。
3.「教育」こそが世界を平和にする手段!
ソ連崩壊後、民主主義による国家統治が期待されたが、イスラム国や中国等自国の論理優先が横行し、独裁国家による核開発がなされ、今やホモサピエンスの世界は崩壊の危機にある。過去3500年間人類は戦争を続けてきたが、戦争の原因は「他者の生活・文化・風習」を知らないことから始まっていったので、「教育を通して平和な社会」の構築をしなければならない。
そのためには、学校で「平和教育」を展開し、児童生徒自らが平和な社会の達成のためには、必ず選挙に行き、投票することが長い道のりとは思えるが、確実な国づくりに繋がっていくということを教えるべきではないだろうか?そのためにも今こそ「平和教育」を。
発表3
- 発表者
令和6年度 第1回定例研究会
- 日時:
- 令和6年6月21日(金)15:00~16:30
- 場所:
- 国際学術交流センター 3階共同研究室 オンライン(ZOOM)での参加可能
発表1
「外国人児童・生徒との接触による異文化対応力の変容」
- 発表者
- 奥西 有理(岡山理科大学教育学部教授)
- 概要
- 在留外国人の増加により外国人児童・生徒も増加し、日本の子供たちと外国の子供たちが共に学ぶことは日常的現象となっている。外国人の子供たちには、不就学や言語・文化を要因とした不適応といった問題が生じることがあり、「支援」の対象であると捉えられがちである。しかし、外国人児童・生徒との接触は、日本の子供たちのグローバルな資質・能力の伸長に影響を与える可能性がある。小学校からの異文化接触が異文化間能力の発達において肯定的影響をもたらした2事例について面接調査の結果を報告した。
発表2
「外国人就労制度の変更に伴う日本語教育」
- 発表者
- 植田 浩三(NPO法人メンターネット副理事長)
- 概要
- この度、「技能実習」から「育成就労」に制度変更になることが正式に決定した。特に重視すべき点は同一職種内の転籍が可能になることであろう。ただし、日本語能力について従来の日本語能力より高いレベルが求められるようになる。また、新制度下においては特定技能への変更にN4レベル試験合格という条件が付けられた。
他には特定技能1号から2号への資格変更にも日本語能力N3レベルの試験合格が必要になる。また、日本語講師が国家資格化されて「登録日本語教員」となり、実績のある「登録日本語教員」を揃えた学校が日本語教育機関として認定を受けることになる。育成就労における日本語教育も、認定された日本語教育機関でしか認められないケースもあるため、受講費用や日本語教員の不足といった課題がでてくるであろう。
この制度変更に伴う日本語教育は、現地での日本語教育から継続して行うべきであり、そのためには現地の送出し機関等との連携が不可欠である。
令和5年度 第5回定例研究会
- 日時:
- 令和6年2月24日(土) 13:00~14:30
- 場所:
- 対面とオンライン(ZOOM)のハイブリッド形式
発表1
「『ケニア社会林業プロジェクト(ケニアスタディツアー)』の取り組み」
- 発表者
- 中山紘之(岡山理科大学基盤教育センター教育講師)
- 概要
- 森林の減少や干ばつ被害が深刻なケニア・リフトバレー州カジアド県エランガタウワスにおいてマサイ族のホームステイを実施し,マサイ族と共に植林活動や地元小学校の水タンク設置の支援活動を実施した内容について報告した。また,ナイロビではキベラスラムや地元高校生との交流会、UNEP見学、日本大使館及びJICAケニア事務所の訪問など国際的リーダーシップを育む多彩なプログラムを実施した。
なお,本事業は早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)と富山大学人間発達科学部等が「ケニアスタディツアー」として2002年から2016年まで実施してきたもので,2017年に起こった大統領選挙をめぐる混乱によって一時中止された後,2023年に岡山理科大学アクティブラーナーズコースが「教育改革推進事業」の一環として実施したものである。
発表2
「外国人児童と留学生によるオンライン日本語学び合い事業-2023年度実施報告-」
- 発表者
- 小山悦司(倉敷芸術科学大学・名誉教授)
- 概要
- 2023年度の実施報告として、1)オンライン学び合い活動の概要、2)学び合い活動の進捗状況、3)学び合い活動の工夫・改善、4)学び合い活動の成果と検討課題を中心に発表がなされた。
特に、学び合い活動の成果では、①小学生と留学生の満足度向上、② オンラインのディメリットの低減:学び合い方法の工夫、③ オンライン(ZOOM)の操作技能やトラブル対処法の習熟、④ 学び合いの経験値の蓄積、⑤ 行政、学校、他団体との新たなつながりの各項目について、具体例を示しながら考察がなされた。
一方、今後の検討課題として、① 日本語に不安を抱える小学生に関する情報収集が困難、② 小学生と留学生のマッチング、③ 留学生の日本語能力レベルの確保、④ 学び合いの対象となる小学生の日本語能力や家庭環境などの個人情報の把握が困難、⑤ 小学生や留学生の日本語能力に応じたテキストや教材の選定、⑥ 学び合いを実施する時間帯や場所の確保、⑦ 持続可能な活動にするための運営資金の安定的確保の7点が重要なポイントであるとの締め括りがなされた。
発表3
「国際比較の活動を取り入れたエネルギー教育の可能性」
- 発表者
- 高橋信幸(岡山理科大学教育推進機構教職支援センター教授) 坂口武典(岡山理科大学教育推進機構教職支援センター講師)
- 概要
- 本研究では、中学校におけるエネルギー教育の取扱いや学習教材を検討し、その集大成として位置付けられるエネルギーミックスを考察する学習課題に着目した。現行の学習内容は我が国の情報が主であるが、エネルギーミックスを考察するには国際比較の活動を取り入れることが有効であると提案した。
参考事例として、国際比較の活動を取り入れて地層処分事業を体験的に学ぶPBLを開発し高校生の部活動で実践した事例を取り上げ、エネルギー教育に国際比較の活動を取り入れることの効果と意義を考察した。
令和5年度 第4回定例研究会
- 日時:
- 令和5年12月29日(金) 16:00~17:30
- 場所:
- ピュアリティまきび(2階会議室) 岡山市北区下石井2-6-41
発表1
大学教育における観光インターンシップの考え方と実践について
- 発表者
- 牧 一郎(九州産業大学)
- 概要
- 大学教育においての授業科目「インターンシップ」の在り方を考察した。本学科は観光学科であり、観光系企業にて「観光インターンシップ」と称し、192時間の有給企業研修を行っている。※観光系企業(ホテル・ブライダル・航空・鉄道・観光協会など約50社対象)産学連携を基盤としたインターンシップの目的や実践の方法について発表を行った。教育プログラムとして「企業側との面談」や「振り返り」など幾つかのステップを加えることにより学生並びに企業側へのメリットが生じ、その結果として双方にとっても効果的な教育プログラムであることを述べた。またその効果を数字で表すことの必要性を併せて述べた。本学科(観光学科)では2年次対象の全員履修科目(2024年度から3年次にて実施予定)であり、今後もその効果の検証と効果的な方法について考察していきたい。
発表2
パキスタン児童へのオンライン日本語講座
- 発表者
- 植田 浩三(NPO法人メンターネット)
- 概要
- 矢掛町の川面小学校に在籍しているパキスタン児童(3姉弟)が日本語を上手く話せず困っている。地域にはパキスタンの公用語であるウルドゥー語を話せる日本語講師はおらず、学校も対応に苦慮していた。NPO法人メンターネットで橋本財団からの助成金を元にオンラインによる日本語講座を開設。講師および授業は神戸の㈱RINXsに委託して45分間の授業を週2回行った。予算の都合上、2学期だけの予定であったが、10月末に学校訪問した際に校長並びに矢掛町教育委員会の関係者と協議して3学期の講座の予算付けを打診したところ後日申請が許可されて、引き続き週1回の開講を予定している。校長からも授業の成果に対するお喜びの声を頂き、お役に立てて何よりである。今後、外国人の受入れに関する制度の変更により、同様のケースが増えることが予想されるので、増々、オンラインによる日本語講座の需要が増える見込みである。
令和5年度 第3回定例研究会
- 日時:
- 令和5年10月28日(土) 16:00~17:30
- 場所:
- オンライン(ZOOM)形式
発表1
「モンゴル国におけるCLIL授業実践と科学イベントへの出展」
- 発表者
- 高原 周一(岡山理科大学)
- 概要
- 発表者は共同研究者と共に2018年から継続的にモンゴル国での教育実践を行ってきた。本発表では直近の2023年9月のモンゴル訪問について報告した。今回の訪問には教員と学生が各5名参加し、3つの学校で7件のCLIL授業を行った。CLIL(Content and Language Integrated Learning)とは、特定の教科内容と語学を統合的に学ぶ手法であり、今回は語学としては日本語もしくは英語を、教科内容としては理科・美術・音楽・家庭科を扱った。また、2つの学校で現地の学生が主導する科学イベントに日本の学生が出展した。このように、発表者らのモンゴル国での教育実践は広がりを見せており、来年度以降も継続していく予定である。
発表2
「オンライン教育で拓く新たな可能性」
- 発表者
- 小山 悦司(倉敷芸術科学大学・名誉教授)
- 概要
- コロナ禍を契機にして、大学をはじめとする多くの教育機関でオンライン教育が定着しつつある。そこで本発表では、1)オンライン教育で何ができるようになるのか、(2)オンライン教育のメリットとデメリット、 3)オンライン日本語学習の事例紹介、4)オンライン学び合い活動の実践報告の4テーマについて考察を加えた。
3)の事例紹介では、①公文教育研究会、②認定NPO法人プラス・エデュケート、③楽しく学ぶオンライン日本語学習の取組みに注目した。また、4)ではオンライン学び合い活動の成果と今後の検討課題について検討を加えた。
令和5年度 第2回定例研究会
- 日時:
- 令和5年8月25日(金) 14:00~15:30
- 場所:
- 国際学術交流センター 3階共同研究室 オンライン(ZOOM)でのハイブリッド開催
ハイブリッド開催
発表1
「2023 米国訪日学生研修団 科ボラ交流会の報告」
- 発表者
- 岡崎 則武(岡山理科大学科学ボランティアセンター)
- 概要
- 岡山理科大学科学ボランティアセンターでは,アメリカやブラジルからの訪日学生研修団と科学実験ショーを通じて交流する会を14年前から行っています。本年度は6月28日に,コロナ禍により4年ぶりの開催となりました。ところが,これまでの蓄積データがなくなっていたり,コロナ禍で運営方法が引き継げていなかったりしたため,今回は全く新しく始めるつもりで企画を練っていきました。メンバーを集めること,そのモチベーションを高めること・・・。この発表では,それらの問題をどうクリアして満足度の高いイベントにしていったかの「組織論」に焦点を当て,事例報告とさせていただきました。
発表2
「諸事例に学ぶNPOの基礎・設立・運営」
- 発表者
- 石原 達也(特定非営利活動法人岡山NPO センター代表理事、SDGs ネットワークおかやま会長)
- 概要
- NPO 法人に対する理解を深め、今後の設立のための準備や運営に向けての示唆を得ること目的に発表を行った。さまざまな実践事例を取り挙げながら、1)NPOの5つの誤解、2)NPOが必要とされる背景、3)NPO法人という法人格、4)NPOと協働と資金調達、5)クラウドファンディングでの資金調達を中心に考察を加えた。
例えば、NPO法人に対して、1)NPO法人になれば補助金がもらえる、2)NPO法人は行政のお墨付きの団体だ、3)NPO法人は対価をもらってはいけない、4)NPO法人で働く人はみんな無給だ、5)NPO法人以外に社会事業の法人格はない、と誤解される場合が多い。
令和5年度 第1回定例研究会
- 日時:
- 令和5年6月17日(土)14:00~15:30
- 場所:
- 国際学術交流センター 3階共同研究室
オンライン(ZOOM)参加可能
発表1
大学生と高校生によるインドにおける国際教育プログラム実践
- 発表者
- 木村 光宏(岡山理科大学)
- 概要
- 岡山理科大学科学ボランティアセンターでは,アメリカやブラジルからの訪日学生研修団と科学実験ショーを通じて交流する会を14年前から行っています。本年度は6月28日に,コロナ禍により4年ぶりの開催となりました。ところが,これまでの蓄積データがなくなっていたり,コロナ禍で運営方法が引き継げていなかったりしたため,今回は全く新しく始めるつもりで企画を練っていきました。メンバーを集めること,そのモチベーションを高めること・・・。この発表では,それらの問題をどうクリアして満足度の高いイベントにしていったかの「組織論」に焦点を当て,事例報告とさせていただきました。
発表2
外国人児童のための留学生によるオンライン学び合い事業(概要紹介)
- 発表者
- 小山 悦司(倉敷芸術科学大学名誉教授)
- 概要
- 全国で約2万人の外国人児童生徒が就学困難な状況にある。日本語の習得が不十分なために学校生活になじめず授業についていけない、さらには不登校となる等の問題が発生しているという現状がある。そこで、同じ母国の児童と留学生が母語を交えてオンラインで学び合うことにより、日本語能力の向上を図り不安なく自信をもって学校生活を送ることができる事業を新たに実施する。具体的には、不安を抱える児童の母国の留学生を有償ボランティアとして募り、国際学術交流センターにおいて教育コーディネータと共にオンラインで日本語の学び合いを開始した。現在までの進捗状況と今後の課題についての報告がなされた。
発表3
外国の方の受入れと日本語サポート
- 発表者
- 植田 浩三(NPO法人メンターネット)
- 概要
- 国内はもとより海外へ向けてのオンライン日本語教室を行ってきました。オンラインについては、Web環境が良ければ講師、受講者ともに目立つ不自由さは感じられません。挙げるとしたら、講師が生徒の反応が分かりづらいところ、また、スマホだと画面共有した資料が読みにくいところかと思います。ただ、そのようなハード面よりも、入国前と入国後に受講者のモチベーションの差が顕著であることが今後の日本語教育において重視する点のように感じられます。まず、入国までにできる限り日本語レベルを上げておくこと、そして入国後は監理団体、勤務先、学校関係者あるいは行政やマスコミを通して、日本語能力の向上を望んでいる外国人の方に日本語サポートの情報が伝わることが必要不可欠であると考えます。