学校法人 加計学園

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2022年08月03日

恐竜(竜脚類)の歩行跡23本発見/前足跡を伴うのはモンゴルで初めて   足跡化石も1000個以上/3年ぶりにモンゴルとの共同調査再開

 岡山理科大学の石垣忍・恐竜学博物館長を代表とする恐竜研究グループは、モンゴル科学アカデミー古生物学研究所と3年ぶりに共同調査を再開しました。8月2日、調査報告会見を行った石垣館長は、ゴビ砂漠で4足歩行する竜脚類の歩行跡23本を発見し、1000個以上の足跡化石を確認したことを明らかにしました。前足の跡を伴う恐竜の歩行跡が見つかったのはモンゴルで初めてです。

 コロナ禍を受けて2019年夏以来、3年ぶりに再開した共同調査隊第1陣は5月20日~6月24日までモンゴルに滞在し、その中で6月1日~15日にゴビ砂漠南東部のシャルツァフと中央部のアルツボグド山地域で現地調査が行われました。
 その結果、シャルツァフでは9000万~7000万年前の地層から竜脚類の歩行跡17本、アルツボグド山地域では8000万年前の地層から保存の良い6本を発見。アルツボグド山地域全体では1000個以上の足跡化石が見つかりました。

 歩行跡は小型から大型までの竜脚類のもので、後ろ足の大きなものの長さは約90㌢。全長25㍍ほどの恐竜と推定されます。石垣館長は「白亜紀末期の大型竜脚類の姿勢・運動・行動・生態系での位置を知る重要な手がかりになる。今後、詳細に解析作業を進めていきたい」と話しています。

 これまで、白亜紀末は竜脚類という大型恐竜のグループは衰退期とみられ、世界的にこの時期の竜脚類足跡化石の産出が少ないため、生態などを解明する手がかりが乏しかったそうです。今回の発見は、竜脚類が、白亜紀末までモンゴルで巨大化しながら多数生き延びていたことや、乾燥気候で小型恐竜中心の生態系と考えられていた8000万年前のモンゴルの環境が、実は大型恐竜の生存を支えうるものであったことなど、従来の常識を考え直す必要があることを示唆しています。

 共同調査隊の第2陣は8月5日から8月中旬まで、ゴビ砂漠東部で約9000万年前の化石層の調査を行う予定です。

大型竜脚類の歩行の跡

足跡化石が残る仕組みを説明する石垣館長

足跡をつけたと考えられる恐竜の復元図 (画:ビャンバーツォクト・石垣忍)

調査が行われたアルツボグド山地域とシャルツァフ